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セクショナリズムとは?組織の縦割りを解消する5つの実践ポイントと企業事例

セクショナリズムとは?組織に起こる縦割り状態を理解する

セクショナリズムとは、部署や部門が自部門の利益や目標を優先し、組織全体としての連携が弱くなっている状態のことです。

「営業部と開発部で責任の押し付け合いが起きる」「他部署が何をしているのか分からない」「部門をまたぐプロジェクトになると意思決定が急に遅くなる」。こうした現象が日常的に起きている場合、組織の中でセクショナリズムが進んでいる可能性があります。

特に組織が拡大し、社員数や管理職、専門部署が増えるほど、役割分担そのものは必要になります。しかし、分業が進むことと、組織が分断されることは同じではありません。

本来は組織全体の目標を達成するためにつくられた部署が、いつの間にか「自分たちの部署を守ること」を優先し始めると、縦割り組織が固定化していきます。

この記事では、次の内容を解説します。

  • セクショナリズムが発生する構造的な原因
  • 縦割り組織を放置することで起きる問題
  • セクショナリズムを解消する5つの実践ポイント
  • チームビルディングと人材育成を組み合わせる考え方
  • 組織の連携が変化した企業事例

セクショナリズムは、単に「社員同士の仲が悪い」という問題ではありません。組織の目標設計、評価制度、マネジメント、コミュニケーションの積み重ねによって生まれる組織課題として捉えることが重要です。

セクショナリズムが生まれる4つの原因

セクショナリズムは、社員個人の性格だけで起こるものではなく、組織構造によって発生しやすくなります。

✅部門ごとの目標だけが強く設定されている

営業部には売上目標、製造部には生産目標、管理部にはコスト削減目標というように、企業では部署ごとに役割とKPIが設定されます。

目標そのものは必要ですが、部門目標だけが強調されると、社員の視点が「会社として何を実現するか」ではなく、「自分たちの部署が評価されるか」に向かいやすくなります。

例えば、営業部が売上を優先して短納期の案件を受注した結果、製造部の負荷が急増するケースがあります。営業側には「売上をつくった」という認識がある一方で、製造側には「現場の事情を考えていない」という不満が残ります。

それぞれが自分の役割を果たしているにもかかわらず、組織全体では対立が生まれてしまうのです。

✅情報が部門の中だけで完結している

セクショナリズムが進んだ組織では、情報の流れも縦方向に偏りやすくなります。

社員が直属の上司には報告するものの、隣の部署には共有しない状態です。その結果、同じ顧客について複数部署が別々に動いたり、似たような業務をそれぞれの部署で行ったりすることがあります。

情報が共有されない状態が続けば、「あの部署は何をしているのか分からない」という認識が強くなります。理解できない相手に対しては、協力よりも警戒が先に立ちやすくなります。

✅管理職が自部門の最適化だけを求められている

管理職の評価が部門単位の成果だけに偏っている場合、管理職自身が部門最適に向かうことがあります。

優秀な管理職であっても、自部署の数字、人員、予算を守ることだけが評価される環境では、他部署を支援する合理的な理由がありません。

その状態では、管理職同士の関係が協働ではなく交渉になり、「どちらの部署が負担するか」「誰の責任なのか」という議論が増えていきます。

✅組織の急成長にマネジメントが追いついていない

社員数が増えると、組織は自然に複雑になります。

30人の会社では経営者が全員と直接話せても、100人、200人と増えれば、部長や課長を通して組織を動かす必要があります。

このとき、管理職が「自分の部署を管理する人」という認識にとどまり、「会社全体の成果を担う人」という視点を持てていないと、組織拡大とともに縦割りが強くなります。

セクショナリズムを放置すると組織に何が起きるのか

セクショナリズムを放置すると、問題はコミュニケーション不足にとどまらず、意思決定や生産性、人材育成にも影響します。

✅部門間の意思決定が遅くなる

縦割りが強い組織では、部門をまたぐ意思決定のたびに調整が必要になります。

「営業としては賛成だが開発が反対している」「現場では必要だが管理部門から承認が出ない」といった状態です。

部署間に信頼関係があれば、目的を共有したうえで調整できます。しかし、セクショナリズムが進んでいると、議論が「会社にとって何が最善か」ではなく、「どの部署の意見を通すか」に変わります。

その結果、顧客対応、新規事業、業務改善など、本来スピードが求められるテーマほど停滞します。

✅問題が起きたときに責任の所在を探し始める

組織の連携が弱いと、問題発生時に原因解決より責任追及が先行する場合があります。

「営業の説明が不足していた」「開発の対応が遅かった」「上司から聞いていない」といった会話が増える状態です。

問題解決には、本来「何が起きたのか」「次にどう改善するか」という視点が必要です。しかし部門間の心理的な距離が大きい組織では、自分の部署を守る行動が優先されやすくなります。

✅若手社員が組織全体を見る機会を失う

セクショナリズムは、次世代リーダー育成にも影響します。

若手社員が一つの部署だけでキャリアを積み、「自部署の成果を出すことが仕事」という価値観だけを学ぶと、将来管理職になったときにも同じ考え方を引き継ぎます。

管理職や幹部候補には、部分最適ではなく全体最適で判断する力が求められます。そのため、セクショナリズムの解消は現在の組織課題への対応であると同時に、将来の経営人材を育てる取り組みでもあります。

若手の成長を加速させるリーダーシップ研修の考え方でも、次世代を担う人材の育成では知識だけでなく、実践を通じた判断力やリーダーシップ開発が重要になります。

セクショナリズムを解消する5つの実践ポイント

セクショナリズムを解消するには、交流会を増やすだけではなく、組織全体の目的と実際の行動をつなぎ直すことが必要です。

1. 部門目標の上に全社目標を置く

最初に必要なのは、社員が「何のために自部署の仕事をしているのか」を理解できる状態をつくることです。

営業、開発、製造、管理と役割が違っても、最終的には同じ事業目標に向かっています。

部門ごとのKPIを設定するときにも、「この目標が全社のどの成果につながるのか」を管理職が説明できる状態にすると、部門間の議論を全社視点へ戻しやすくなります。

2. 部門を越えて解決する課題をつくる

会議や懇親会だけでは、部門間の関係性が大きく変わらないことがあります。

重要なのは、異なる部署の社員が同じ目的を持ち、協力しなければ解決できない課題に取り組むことです。

プロジェクトチームや業務改善活動など、役職や部署の境界を越えて協働する機会を設計すると、相手の判断基準や仕事の難しさを理解するきっかけになります。

3. 管理職に全体最適で判断する役割を持たせる

セクショナリズムを変えるうえで、管理職の役割は重要です。

管理職を「自部署の数字を達成する責任者」とだけ定義するのではなく、「会社全体の目標達成に責任を持つ人材」として育成する必要があります。

部署を越えた課題について、管理職同士が共通の経営目標から議論する習慣ができれば、現場にもその姿勢が伝わります。

4. 実際の行動から自分の癖を認識する

知識として「全体最適が重要」と理解することと、実際にその行動ができることは別です。

プレッシャーがかかった状況では、「自分だけで解決しようとする」「他人に任せられない」「意見の違う相手を避ける」など、その人が普段持っている行動特性が表れやすくなります。

そこで有効になるのが、経験から学習するという考え方です。

コルブの経験学習サイクルでは、体験、内省、概念化、実践という流れを繰り返すことで学びを深めていきます。

単に「協力しましょう」と教えるのではなく、自分が実際にどのような行動を取ったのかを振り返り、次の現場でどう行動するかまでつなげることが重要です。

5. 研修後の日常業務まで変化を追う

セクショナリズムの解消は、研修当日に参加者同士が打ち解ければ完了するものではありません。

重要なのは、職場に戻った後です。

例えば、「他部署へ相談するタイミングが早くなった」「会議で全社目標から議論するようになった」「部下に他部署との関係まで考えさせるようになった」といった日常行動の変化につなげる必要があります。

研修施策を選ぶ際には、当日の満足度だけでなく、経験を内省し、現場での行動につなげる設計があるかを確認するとよいでしょう。

実践型研修でセクショナリズムを可視化する方法

セクショナリズムを改善する一つの方法として、普段の役職や部署から離れた実践環境でチームの関係性を可視化する方法があります。

通常の職場では、部長は部長、営業は営業という役割が固定されています。そのため、本人も周囲も日常の関係性を前提として行動します。

一方、答えが決まっていない課題やプレッシャーのかかる状況では、その人本来の意思決定やコミュニケーションの特徴が表れやすくなります。

CRAYONZでは、実践型・超体感型の企業研修を通じて、こうした環境を意図的につくっています。栃木県那須に約7,000㎡の自社専用「実践型人財開発センター」を保有し、野外、室内、水中など異なる環境を使ったプログラムを設計しています。

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💡普段の肩書きが通用しない環境をつくる

例えば野外研修プログラムでは、高さ15mを超える特殊コースなどを活用し、チームで課題に向き合います。

重要なのは、単に難しいことへ挑戦することではありません。

普段の職場では見えにくい「誰が指示を出すのか」「誰が周囲を見るのか」「失敗したときに誰の責任にするのか」「意見が対立したときにどう判断するのか」といった行動が表れる点にあります。

野外研修で変わる組織と人についての解説でも、実践環境を活用した人材育成の考え方を紹介しています。

💡体験だけで終わらせず内省する

実践型研修で重要なのは、難しい課題を達成することだけではありません。

「あの場面で、なぜ自分は相手の意見を聞かなかったのか」「なぜ別のチームに助けを求められなかったのか」と振り返ることで、職場での自分の行動と結びつけます。

これはコルブの経験学習サイクルにおける、体験から内省、概念化へ進むプロセスです。

さらに、管理職や幹部候補については、自分自身の行動だけでなく、「この行動が組織全体にどのような影響を与えるのか」まで考える必要があります。

CRAYONZの管理者養成プログラムでは、2日間のプログラムと研修後のフォローコーチングを組み合わせ、研修で得た気づきを現場での行動につなげる設計を行っています。

セクショナリズム改善につながった企業事例

セクショナリズムへの対応では、単に部署間の雰囲気が良くなったかではなく、組織や事業にどのような変化が起きたかを見ることが重要です。

💡横のつながりが生まれ、離職率が年間100%から33%へ低下

縦のつながりしかなく、組織への定着に課題を抱えていた企業では、社員同士の横のつながりをつくる取り組みを進めました。

その結果、社員同士が部署や立場を越えて関係を築くようになり、離職率が年間100%から33%に低下しました。

離職の問題は給与や待遇だけで起こるとは限りません。職場で相談できる相手がいるか、自分が組織の一員だと感じられるかといった関係性も、組織への定着に関係します。

💡チームの結束力が高まり、生産量が3倍に

チームマネジメント力に課題を抱えていた企業では、個人ごとに仕事を進める状態から、チームとして目標達成する状態への転換に取り組みました。

その結果、1日あたりの生産量が3倍になり、1ヶ月で最高2,400万円の売上増につながりました。

組織開発では、社員同士の関係性改善自体を目的にするのではなく、その変化が生産性や顧客価値、事業成果にどうつながるのかまで考えることが重要です。

💡M&A後の組織統合で売上118%増加

M&A後に組織が同じ方向を向けず、協働が進んでいなかった企業では、組織の方向性をそろえ、チームとして連携するための取り組みが行われました。

その結果、売上118%増加、買収店舗売上140%増加、予約数265%増加となり、過去最高売上を更新しました。

組織再編やM&Aの場面では、制度や組織図を統合しただけでは、人の意識まで自動的に一つになるわけではありません。

異なる経験や価値観を持つ人が互いを理解し、「どちらの組織か」ではなく「これから何を実現する組織か」という共通目標を持つプロセスが必要です。

セクショナリズム解消は組織全体を見る人材づくりから始める

セクショナリズムは、単に部署間交流を増やせば解決する課題ではありません。

部門目標、評価制度、情報共有、管理職の役割など、組織の構造によって生まれている場合が多いためです。

そのため、まずは全社目標と部門目標を接続し、部門を越えて協働する機会をつくり、管理職が全体最適で判断できる状態を目指す必要があります。

特に次世代リーダーや幹部候補には、「自部署で成果を出す力」だけではなく、組織全体を見て、人や部署を動かしながら成果をつくる力が求められます。

座学で考え方を理解するだけでは行動が変わりにくい場合には、実践環境で自分の行動を可視化し、振り返り、現場での実践につなげる方法も選択肢になります。

セクショナリズムや縦割り組織の改善に向けて人材育成施策を検討している場合は、まずはCRAYONZの研修資料から、実践型・超体感型研修の考え方やプログラムをご確認ください。

よくある質問

Q1. セクショナリズムとは簡単にいうと何ですか?

セクショナリズムとは、自分の部署や部門の利益・目標を優先し、組織全体の連携が弱くなっている状態です。部署同士の情報共有が少ない、責任の押し付け合いがある、部門をまたぐ意思決定が遅いといった現象として表れることがあります。

Q2. セクショナリズムと縦割り組織は同じ意味ですか?

近い意味で使われますが、縦割り組織は組織構造を、セクショナリズムはそこから生じる部門本位の意識や行動を指す場合があります。部署を分けること自体が問題なのではなく、部署間の目的共有や協働が失われている状態が課題です。

Q3. セクショナリズムはなぜ起こるのでしょうか?

部門ごとの目標や評価が強すぎること、情報共有が部署内で完結していること、管理職が自部署の成果だけを求められていることなどが主な原因です。特に組織が急拡大している企業では、マネジメント体制が成長速度に追いつかず、部署間の分断が起こることがあります。

Q4. チームビルディング研修でセクショナリズムは解消できますか?

研修だけですべてが解決するわけではありませんが、部署を越えて協働する経験をつくり、自分の行動を振り返る機会として活用できます。重要なのは、研修を一過性のイベントにせず、全社目標や日常の業務、管理職の行動まで接続することです。

Q5. セクショナリズム対策はどの層から始めるべきですか?

組織全体に影響を与える管理職や幹部候補、次世代リーダーから始める方法が有効です。特に、自部署の成果だけでなく会社全体の成果を考えることが求められる人材に対し、全体最適の視点と部門横断で協働する経験を持たせることが重要です。

代表取締役社長 日髙心陽
代表取締役社長 日髙心陽
2008年より、飲食ビジネスを展開する株式会社インクレアスにて新規事業の立ち上げに従事。採用・人材育成・店舗運営・マネジメントを経験し、3店舗を統括するマネージャーを務める。 2011年、23歳で人材育成事業「GRACE」を設立し起業。1,000名以上のコーチング指導に携わり、所属団体40名中1位の指導実績を当時最年少で達成した。その後、株式会社MARVELLOUS LABOにて法人事業の立ち上げや組織開発コンサルティングに携わり、事業部長を務める。 その後、株式会社MARVELLOUS LABOから独自の超体感型研修事業を引き継ぎ、株式会社CRAYONZの代表取締役社長に就任。現在は、企業向けの人材育成・組織開発を中心に、人事制度の構築・運用支援、管理者・リーダーへのコーチングに加え、人材紹介事業や青少年向けの教育事業も立ち上げ、教育・人材領域で幅広く事業を展開している。 大手企業からベンチャー企業まで、IT、広告、美容、建設、運送、建築、土木、旅客鉄道など幅広い業種を支援。研修を「知識を学ぶ場」にとどめず、実践を通じた行動変容と組織の成果につなげることを強みとしている。

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